タバコをやめてから妙に味覚が研ぎ澄まされ、とにかく飯が美味い今日この頃です。おかげ様で体重が増えて来ました(笑)
そこで、間食はお菓子ではなく、低カロリーな健康的なものにしようと思い立ち、色々な種類の海苔を大人買いしてみました。

食べ比べてみると、例えば同じ産地であっても、製法や作る人によってまったく特徴が異なることがわかり、海苔というものの奥深さに感じ入っている次第です。
お菓子代わりに「そのまま」食べているので、純粋に海苔そのものの味の評価になってしまいますが(おにぎりに巻く、手巻き寿司にする、ラーメンに沿える、刻んでパスタにかける…使い方によって、海苔の特長はそれぞれ活かされてくるのだろうと思います。その検証はまたいずれ)、折角ですのでそれぞれの特徴を記しておこうと思います。
食べ比べてみた「海苔」の感想
■有明海産「佐賀初摘」
香り:★★★☆☆
口どけ:★★☆☆☆
旨味:★★★★☆
潮の満ち引きを活用する、昔ながらの「支柱柵式」という製法を継承する職人、島内啓次さん(後述の「アサクサノリ」を育てている方でもあります。参考リンク:島内啓次さんHP)が、一番摘みの中でも「新芽」(若い芽)で作った、こだわりの海苔です。
口に入れた瞬間に自然な磯の風味が広がります。しっかりとした食感はあるのに、口どけはそこまで悪くなく、且つ食後しばらく磯の香りを楽しむことができます。所謂「海苔好き」の方にはたまらない、嫌いな人はいないであろう一品です!
■宮城県松島湾産「初摘松島」
香り:★★☆☆☆
口どけ:★★☆☆☆
旨味:★★☆☆☆
世界三大漁場の一つに数えれらる三陸沖、松島湾の中でも、奥松島で摘採された海苔です。
口に入れた瞬間の風味・インパクトはそれほどなく、全体的にあっさりした感じなのですが、噛んでいると最後の方に独特の旨味を感じてきます。非常にオーソドックスな海苔です。癖がないということは、他の食材の邪魔をしないということですから、食べ方によっては抜群の評価を与えられそうな気がします。あ、特におにぎりが合いそうです!
■瀬戸内海産「初摘明石」
香り:★☆☆☆☆
口どけ:★★☆☆☆
旨味:★☆☆☆☆
有明海と並ぶ産地である兵庫県明石産の初摘海苔です。
見た目は黒く、厚みもあり、立派です。ただ、表現が難しいのですが、人工的というか、どこか工業的な味を感じてしまい。私は好きではありませんでした。残香感が強いので、余計に違和感を感じてしまいます。これも、用途によっては評価は変わってくるのだろうと思いますけど。
■有明海産 希少等級「初摘 旬」
香り:★★★★★
口どけ:★★★★★
旨味:★★★★★
日本で最初に食味検査を導入した、味へのこだわりが半端ない福岡県皿垣開漁業協同組合。その漁協が設けた厳しい評価基準で、「旬」という等級を与えられた海苔です。
もうこれは、「是非"このまま"食べていただきたい!」としか言えない、メインディッシュ感溢れる一品です!一流海鮮料理店が出す海鮮料理の味が、1枚の海苔の中に凝縮されています。そして、口に入れた瞬間さっと溶けるのに、いつまでも最高の余韻が残るのです。あるサイトでは、この海苔の美味しい食べ方として「お椀にちぎって入れ醤油を垂らす、それだけ」と紹介されていました。一瞬でほどけて、絶品の吸い物になるそうです。次買ったらやってみます!
■皇室献上の浜 宮城県松島湾産「初摘松島」
香り:★★★★☆
口どけ:★★★★☆
旨味:★★★★☆
宮城県塩釜神社で毎年海苔の品評会が行われますが、奥松島の海苔は、そこで6年連続皇室献上に選ばれたそうです。
純粋で混ざり気や嫌味の全くない、気品溢れる一品です!さっぱりしているのに、奥の深さが半端なく、噛めば噛むほど旨味が楽しめます。食べるだけで、まるで天にも昇るような気持ちになれる海苔。当然、生まれて初めての経験でした!どんな使い方をしても絶対に外すことのないタイプでしょう(ただ、時間が経っても形を保てるか、という実用的な部分はやってみないとわかりません)。
■絶滅危惧種選定 有明海産「あさくさ」
香り:★★★★★
口どけ:★★★★★
旨味:★★★★★
口に入れた瞬間、思わず笑ってしまったほどの、これまでに食べたことのない美味さです!良い意味で香りも味もしっかりと濃く、口どけは最高に良い、最高の一品。他の食材と合わせることが勿体ないレベルの美味さです。「究極の海苔」の称号を与えたいと思います!!
・・・こうやって食べ比べているうちに、あることに気がつきました。
「海苔」と「人材」の共通項
それは、「海苔」と「人材」には共通する部分が多い、ということです。例えば、以下のような部分です。
生まれ持った素材の違い(品種・個性)
「アサクサ海苔」に代表されるように、海苔には品種ごとに異なる特徴があり、人にも「得意なこと」「性格」「感受性」といった個性があります。生まれながらにして持っている特性が、その後の成長に大きな影響を与えます。
環境と育ち方が個性を決める(産地・生産方法)
同じ有明海産でも、生産者や製法が異なると全く違う味や食感になるように、人もどんな環境で育ち、どのような教育や経験を積んできたかで、能力や考え方が大きく変わります。「松島湾の海苔」が穏やかで上品な味を持つように、「環境が人を作る」というのはまさにその通りでしょう。
評価は用途によって変わる(適材適所)
「あっさりした海苔はおにぎりに向いている」「味の濃い海苔はそのまま食べるのが最高」など、用途によって評価が変わるのも、人材と同じではないでしょうか。
例えば、ある人は研究職でその才能を発揮するかもしれませんが、営業職では活かされないかもしれません。逆に、コミュニケーション力の高い人が事務作業だけをしていたら、持ち味を発揮できません。「自分に合った環境」でこそ、真価を発揮できるのです。
希少なものには、それ相応の価値がある
「絶滅危惧種のアサクサ海苔」が特別な価値を持つように、特定のスキルや考え方を持つ人材も、時代によって貴重な存在になります。例えば、今の時代なら「AIを活用できる人材」が重宝されるように、社会のニーズによって希少価値は変動します。
育成が難しいものほど、素晴らしいものになることがある
「アサクサ海苔」が育てるのが難しいからこそ「幻の海苔」になったように、人材も「育成に手間がかかる」からこそ、唯一無二の存在になり得ます。簡単に育つものは、簡単に代替される。時間と手間をかけて育てられたものほど、他にはない価値を生むのです。
どんなに良い素材でも、環境が悪ければ台無しになる
「良い海苔も、保存状態が悪ければ風味が損なわれる」ように、人も適切な環境や機会がなければ、せっかくの才能が発揮されません。企業や社会には「人の才能を活かす環境を提供すること」が求められ、逆に個人も「自分の才能が活きる場所を選ぶ目」を養うことが重要でしょう。
人材は海苔である
どんな海苔も、それぞれの特性に合った食べ方をすれば最高の味を発揮するのと同じく、人も「自分の適性に合った環境」でこそ輝けるのではないでしょうか。
大切なのは、「自分の特性を理解すること」と「適材適所の場を見極めること」。それができれば、どんな人でも唯一無二の価値を持つ存在になれるはずです。
同時にすべての経営者には、自らのバイアスを排除し(ブログ内参照リンク)、各従業員の特性を的確に把握する、そして、それを最大限に活かすための方法を熟考し、「人の才能を活かす環境を提供する」責任があります。
今日は流石に海苔を食べ過ぎてしまいました。家の中で潮の満ち引きを感じるレベルです(笑)
明日はおにぎりに巻くくらいにしておこうと思います。
BBDF 藤本